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百合キチ三平

百合漫画の書評やその他百合コンテンツ評、百合クリエイター評など

先輩OL×後輩OL=制服プレイ。トクヲツム『終電で帰さない、たった1つの方法』

 

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こういう人におすすめ

・成人女性の初々しい百合を読みたい人
・大人同士の制服プレイが読みたい人
・料理中に台所で致したので夜ご飯がカップ麺になる人

 

社会人百合の入り口にもうってつけ

 百合文化の浸透もだいぶ落ち着き、今は受け手のニーズに適う設定や嗜好の細分化が進むステージへきたところ。私としても今年は「社会人百合」の普及に努めるべく切磋琢磨しているところなのですが、そんな中に於いて非常に良いタイミングでリリースされた本書は「社会人百合の魅力を知りたいならこれ読みなよ」と手渡すにはうってつけの作品です。

 作者のトクヲツム先生がネット上に掲載した作品を一冊にまとめ、OL同士のカップル、恋愛慣れしていない女性と彼女にベタ惚れの女性、大学の先輩後輩、学生と予備校教師の関係を描いた短編集である本作。収録作はいずれも秀作揃いなのですが熱い読みどころはやはり、本書の半分以上のページ数が割かれたOL同士の社会人百合でしょう。

 自分の教育係を務めた先輩OLの彩夏が転職することを機に告白し、見事付き合うことになった新入社員の菜々子。同性との恋愛経験が無い彩夏にとって菜々子との交際は、ときにお互いの名前を呼び合うことにすら緊張するほど、まるで高校生の恋愛のように初々しく、一方でやはり大人の恋愛。身体を重ね合うときに恥じらいながら高校時代の制服を着せるプレイに興じるなど、社会人百合ならではの滑稽味ある描写も見所。

 読んでいてただただ悶えるような場面のみならず、付き合いはじめて間もないころの菜々子と抱き合う瞬間の彩夏が、相手に対し残酷だとわかっていながらも「この娘が男の子だったらよかったのに」と思ったり、恋愛慣れしていない女性・吉田さんが同性と付き合う自身の恋愛や交際相手のハナエさんに対する感情に懸念を抱くようになったりと、キャラクター達が心の中に抱く不安の陰と向き合う姿もあり。

 その不安の中を進んでいく中で見出していく、相手に対する自分の本当の気持ちや感情、それらの描写がキャラクターの想いに深みを与えて、非常に読み応えのある作品となっています。私的にもお気に入りの場面がとても多い作品ではあるのですが、菜々子の過去の恋愛を訊ねてヤキモチを焼く彩夏と、そのヤキモチを喜ぶ菜々子、そこからの流れ……にはニヤつきも止まりません。

 収録作の詳しい内容は、ネット上での掲載分である程度チェックすることができるので、気になる方はトクヲツム先生のpixivリンクからどうぞ。

 

終電で帰さない、たった1つの方法 (百合姫コミックス)

終電で帰さない、たった1つの方法 (百合姫コミックス)

 

 

作者トクヲツム先生に関するリンクはこちら。
トクヲツム (@tokuwotsumu_) | Twitter
「トクヲツム」のプロフィール [pixiv]